• 1998.02.24
    2月23日、全日空乗員組合は「98春闘要求」として、要求文書を会社に提出しました
    1998年2月24日

    2月23日、全日空乗員組合は「98春闘要求」として、要求文書を会社に提出しました。


     これまでの春闘要求との大きな違いは、「経営責任に関する要求」が入っていることです。

     ここ数年間、大企業が反社会的な問題を起こしたり、経営陣の失敗によって企業が破綻する事例が続いています。そして、そこで働く人たちが、何故そうした経営者の反社会行為や暴走を防止し得なかったのか、そこにある労働組合がチェック機能を果たしていなかったという疑問や批判が出されています。

     私たち全日空乗員組合は、昨年の社長交代劇以降も、新経営陣と様々な問題について交渉してきました。

     その中で、会社から積極的な資料提供を受ける事は出来ませんでしたが、全日空の関連事業における多大な損失が明らかとなり、この春闘において「経営責任の追及」を含めた要求をすべきと判断しました。

     経営責任を正面から取り上げ要求化することは、全日空乗員組合の歴史の中でも初めてのことです。

     私たちは、全日空が直面している問題と経営陣が計画している事を判断した結果、安全運航を第一とすべき公共交通機関の使命が全う出来なくなる危機感を持つに至りました。

     要求書で述べている通り、全日空はこれまで本業以外の関連事業に多額の投資を行い、数多くの失敗を重ねています。この中には整理が決まっている「全日空ファイナンス」の株取引での損失や、ゴルフ場開発で失敗し、将来の見通しもはっきりしない「全日空ビルディング」、他にもホテル事業の行き詰まり等があります。

     1997年3月31日の有価証券報告書によれば、全日空の関連会社は127社におよび、投資総額は1400億円になっており、ここ数年の全日空ファイナンス・全日空ビルディング関連への支援策には400億円も注ぎ込んでいます。



     全日空の本業である航空輸送事業の経営方針でも、バブル経済崩壊後も事業拡大策を推し進めてきました。会社の説明によれば、計画した収入が得られない厳しい状況であるにも関わらず、さらに現在の五カ年計画でも投資1兆円(航空機購入53機)という事業拡大を推し進めようとしています。

     その結果、現在の状況を乗り切るためとして、「規制緩和」や「企業間競争」を理由とした人員の削減や労働条件の切り下げに躍起になっています。こうした経営の在り方は、安全運航を要とした運航品質すら切り下げ低下させています。

     会社側は、コスト削減計画は順調であり生産性向上は計画以上である事を認めていますが、「計画した収入を得られず厳しい」としています。ハードルの高い収入目標を理由とした「危機」は、経営陣自らが責任を負うべきです。また、今後の多大な投資や本業以外への支出等が問題です。

     一方、営業費用の人件費は1600億円(18.5%)程度であり、国際比較で見れば低い水準にあります。運航乗務員の人件費は営業費用の4~5%程度であり、私たちは問題の本質は生産性向上に貢献した社員ではなく、「放漫経営」や過大な事業計画にあると考えます。そして、航空輸送の安全性向上に全力をあげ、本業での収益は関連事業ではなく、運賃引き下げ、利便性向上などに反映すべきと考えます。

    (ここでは詳しい説明は省きますが、運賃が高い原因の一つが営業費用に占める公租、公課にあります。全日空の営業費用に占める割合は国際的にもダントツに高い17%程度であり、東京~大阪線の利用率70%で換算すると、正規運賃の27%になります。具体的には、ジャンボ1機が負担する着陸料等は成田空港で95万円弱、 ロンドンヒスロー空港で8万円弱、ニューヨーク空港で31万円強です)

     会社経営陣は関連事業の失敗等で何等の反省もなく、責任者が責任を取ろうとしていませんが、そのような失敗をした役員が高額な慰労金を得て退任する現状は改められるべきです。会社役員は、報酬の1年間10%カットでお茶をにごそうとするのではなく、責任者らしい責任をとる事は当然ではないでしょうか。



     これらを改めずに全日空は存続し得ないとの危機感から、私たちは98春闘要求を提出しました。回答指定日は3月27日とし、回答内容を分析してその後の方針を決めていく予定です。




    ◆乗員組合に関する情報

     代表者:組合長 石飛 明夫

     組合員数:1998年2月20日現在、1524名。

     機長、副操縦士、航空機関士等で組織する乗員組合です。

     地上職と客室乗務員は全日空労働組合(約8000名)に組織されています。

    ◆連絡先:

     担当:書記長/教宣部長となっております。フライトをしながらの組合活動ですので、常時対応することは困難な状況です。伝言を頂くか、FAXでの質問等にはフォローしたいと考えております。悪しからず、ご了承下さい。



    全日本空輸乗員組合 中央執行委員会

    All Nippon Airways Crew Association

  • 1997.07.24
    全日空乗員組合は本日、全日空社長を労働基準法違反で告発しました。
    97年07月24日

    全日空乗員組合は本日、全日空社長を労働基準法違反で告発しました。


    1997年07月24日、全日空乗員組合は大田労働基準監督署に、全日空が所定労働時間を定めずに航空機運航乗務員を労働させていることについて、労働基準法第32条及び89条違反に当たるので告発を行いました。
    < 告発に至る経緯 >
    全日空では昨年1996年3月31日までは、賃金勤務という基本的労働条件に関わる扱いについて。

        ・賃金に関しては「賃金に関わる労働協約」

    ・勤務に関しては「勤務協定」

    などを乗員組合と協定して運用してきました。
    この間、乗員組合は会社に対して、所定労働時間の定めが無く問題があることを指摘してきましたが、会社が上記労使間協定により労働条件を運用する姿勢を有していたので、労使紛争は拡大することなく経過してきました。

    ところが、全日空は昨年1996年4月1日に、乗員組合と締結した10項目に及ぶ賃金関係協定類を一方的に破棄しました。そして大幅な賃金切り下げ、出来高制や人事考課を骨子にした賃金体系を一方的な就業規則変更という形で導入しました。

    現在、組合の要求があって、この扱いについては一時凍結されていますが、協定を破棄していることについては何らの反省もしておらず、今後の賃金体系にかかる交渉も予断を許さない状況にあります。
    このような状況の中、会社が一方的に導入した就業規則では、運航乗務員の労働時間管理について、労働基準法に定める必要要件も定めていません。

    このため、会社は、極度に変則的な勤務を強いられる運航乗務員に対して、基本的な労働時間の定めも無いまま、労働基準法32条に定める1日8時間、一週40時間をゆうに超える労働を、組合との「36協定」も無いままにさせています。もとより、法定割増賃金の支払いもしていません。

    先に述べた協定破棄に至る交渉の中で、労働組合との合意や約束も守らない中では、法律に則り労働者の権利を守る事がより強く求められることを指摘し是正を求めましたが、会社はこれを聞き入れず、協定を破棄して就業規則を変更しました。
    <結論>
    このような全日空経営者の行為は、悪質であり本日7月24日、告発に至りました。





    全日本空輸乗員組合 中央執行委員会

    All Nippon Airways Crew Association